私の娘は現在小学4年生で、算数の授業では3ケタ以上の掛け算、割り算を習っているようです。
これらがしっかり計算できるようになるため宿題も出されておりますが、割り算が中々苦戦しているようで、計算が本職(!?)の私が時々解法を説明したりもしています。
とは言え私も筆算は高校の時以来やっておらず、思い出しながらなので間違えることもしばしば。改めて電卓のありがたみを再認識した次第です。
電卓が無ければ税理士業は出来なかったかもしれないです(笑)
さて以前もお話ししましたが、税理士業で扱う計算そのものはそれほど難しくなく、小学校卒業レベルの計算力、つまり四則演算がソツなく出来れば十分です。
言い換えると経営上で財務の数字を追いかけるのも、その程度の計算力で良いということです。
そういうことであれば世の中の経営者が財務の数字に悩まなくて良いはずなのですが、中々そうはいかないですよね。
そこには経営者が起こした行動があり、その行動を起こした結果が数字で表れるからです。そう考えると行動と数字上の結果がどうリンクしているのかの理解が重要と言えます。
では経営上の「足し算」「引き算」「掛け算」「割り算」が使われる状況を紐解いてみましょう。
まず経営で最も重要な売上をどう上げていくかについてですが、ここでは「足し算」が出てきます。単純に「件数」を積み増していけば、それだけ売上は上がりますからね。
そう考えると売上アップの基本は「足し算」の戦略と言えますが、売上を決定する要素はそれだけではなく「単価」や「回転数」もあり、算式にすると「売上高=件数× 単価× 回転数」となります。
ということは売上アップ戦略には「足し算」のみならず「掛け算」も必要と言えます。
ただ売上さえ上がっていれば経営は良いかというと、当然ながらそうではありませんよね。最終的には「いくら利益が出ているか?」が重要です。
つまり経費をどれだけ使うか?という「引き算」が出てきます。
この引き算ですが、固定的に絶対に掛かるもの(家賃、水道光熱費、通信費、税理士報酬など)、売上によって変動するもの(仕入、人件費など)、事業主の裁量要素が強いもの(交際費、広告宣伝費、消耗品費など)を分けて考えないと上手くいきません。
そのためには「売上の〇%を売上原価とする」「粗利益の△%を人件費とする」などの「割り算」も必要になります。
これによっていくら売上げたら利益が出るのかという指標「損益分岐点」が見えてきて、事業としての目標が明確になります。
更に「これだけの広告宣伝費をかけることで、いくらの売上アップが見込める」
「総務、経理などの間接部門を充実させたことによって営業に集中できるようになり、売上が上げやすい環境が整う」
「適材適所で人材を配置することで、従業員のモチベーションが上がり、ひいては生産性が上がって人件費の削減が見込める」
など、いわゆる「シナジー効果」と呼ばれるものは、目に見えない「掛け算」です。
ただ目に見えないが故に効果測定をしにくく、意識の外に行きがちで、経営が上手くいっていない原因の多くが、この「掛け算」の取り組みが不十分であるからだと私は思っております。
いずれにしましても経営では「足し算だけ」「引き算だけ」などの発想では上手くいきません。
四則演算が使われる状況をしっかり理解した上で、くまなく使うという行動に移していき、その結果を財務上の数字で確認することが重要です。
今後のご面談でも上記を意識してお話していこうと思っておりますので、健全な経営にお役立て頂ければ幸いです。