税理士はお客様よりよく「先生」と呼ばれたりします。

税務の専門家として、分かりやすく税金について教えてくれる人という意味で、「先生」と呼ばれるようになったのかなと想像しております。

しかし私はお客様とは対等な関係を築きたいと常々思っていますので、「先生」と呼ばれるのに少々違和感がありますが、そんな私が唯一「先生」と呼ばれて然るべきと認識している時があります。

それが「租税教室」で学校に登壇する時です。

 

さて租税教室と聞いても全く聞きなじみのない方もいらっしゃるかもしれません。

それもそのはず、租税教室が開始されたのは平成15年で、まだまだ歴史は浅いです。

では租税教室ではどんなことを話しているのか?

実際の授業の内容はというと、「税の歴史」から始まり「今の日本の税金の概要」「身近な税金は学校にもいっぱい」「税金の集め方、税金の使われ方」などを説明しています。

途中「どうやったら公平に税金を集められるか?」というグループワークを行ったりしますし、「税金クイズ」を出したりして生徒たちも飽きずに聞けるような工夫も施しています。

 

最後に「税理士の役割」を話し、少しでも税理士を身近に感じてもらうようアピールも忘れておりません。

こうして税務の専門家である税理士自ら講師となって小・中学校や高校で税金の授業を行うことは、これから世の中を支えていく若い世代の人たちに非常にためになると学校側での認識が進み、令和元年には全国で1万2千を超える実施件数を数えるまでになりました。私も昨年2校で租税教室講師として登壇致しました。

租税教室を実施するに当たっては、準備に結構時間が掛かりますし、当日の拘束時間も少なからずあります。それでも私はやりたくて租税教室の講師を引受けています。

なぜ自分の時間を削ってまで私が租税教室に携わっているのか?その理由は…

 

私が税理士を目指すことを決意し受験勉強をしていた時、税金の勉強をすればするほど納税者に優しくない、七面倒な税制ばかりであることに気づきました。

そんな時ふと思ったのが「国は国民に対し納税を義務と言いながら、その仕組みすら何ら教えてきていない。これは国民が税制を知らない方が、国の都合の良い税制を作れるようにしているのではないか?」と。

税金は法律に基づいているとは言え、国等から一方的に財産を収奪されるものです。それだけに納税者それぞれが納得して税金を納めるべきですが、納税者のほとんどは税金の仕組みを知らないのが現状です。

であれば納税者が納得して税金を納めるために、勉強をした私が税金のことを教えていきたい、そう強く意識し始めるようになりました。

そんな折、一足先に税理士となった受験仲間から租税教室の存在を聞き、税理士となった暁には積極的に関わっていくことを心に決めました。

 

今の世の中、物価高によって生活苦になっている国民が多くいます。

それだけでなく日本は火山列島ということもあり、災害が多い土地柄でもあります。そういうことがある度に税金の使い道が話題になりますが、「本当に国民はそんな税金の使い方を望んでいるの?」と考えさせられることが多々あります。

我々税理士は税務の専門家として政府等にもあるべき税制を毎年提言していますが、中々思うようにいきません。

やはり国民の税金に対するリテラシーが高くならないと機運が高まらないのかなと思っております。そのために早い段階での教育は大変重要です。

微力ではありますが、税理士として少しでも国民の税への意識が高まるよう活動を続け、結果納税者が納得できる税制になるようにしていきたいと思っております。