前回のコラムでどうしたら税務調査の対応力を磨けるのか、私見も含めお話ししました。

ただ必要な知識やスキルを学べる機会が少ないこともお伝えしました。

そんな状況下ではありますが、私が加入している東京青年税理士連盟(以下「東京青税」)では税務調査の対応力を学べる機会を種々設けております。今回はこちらをご紹介します。

 

1.税法学原論研究会

東京青税では、会員の資質の向上をはかることを目的とし、毎月幅広い研究会や実務に密着した研修会を行っております。

中でも研究部主催の研究会では、税法学や法律を中心に、納税者の権利を擁護する税理士として、基本的な考え方を養うための研究会が継続して行われています。

その一つに税法学原論研究会があります。この研究会では税理士・弁護士であり法学者でもある北野弘久著の「税法学原論」をテキストとして、税理士としての基本的な考え方を身につけるために、憲法の理念に基づいて税法学を基礎から学んでいきます。

具体的には税法学とは何から始まり、租税の法的概念や税法の体系、租税法律主義や応能負担原則といった税の仕組みそのものの認識から、税法の解釈と適用など実践向けの内容があった上で、税務調査権や適正手続、税務争訟制度など正に税務調査に関わる内容に続き、その中で税理士はどう立ち振る舞うべきか?税理士制度を紐解く内容まで、広義に亘っております。

さすがにこれだけの分量がありますので、2年で1冊分を学ぶペースとなっております。それでも内容は非常に高度で難解なので、1度聞いただけでは私は理解できておりません。

しかしこの研究会に参加し続けたことで、曲がりなりにも税務調査の法的位置づけや具体的な手続きを学べ、今では自信を持って税務調査に臨めるようになりました(逆に言えば、学ぶ前は税務調査で調査官の良いようにされていたことも改めて分かりました)。

 

2.シンポジウム論文作成

青税には全国組織として全国青年税理士連盟(以下「全国青税」)があり、そこには東京青税はもとより、神奈川、埼玉、千葉、名古屋、岐阜、近畿、香川などの各地域の青税組織が加入して活動を行っております。

全国青税の大きなイベントには毎年8月に開催されるシンポジウムがあり、そこでは税法や税理士制度の中から特定のテーマを決めて、そのテーマを基に各単位青税が論文を作成し、発表します。

作成に当たってはテーマに沿った税法等の知識が必要になりますので、関連する参考文献をまずは読み漁ります。

その上で論文のセオリー(序論:問題提起、準備:テーマに対する最低限の基礎知識・情報の提示、本論:問題の解決策、結論:考察の説明)に沿った骨子を組み立てます。

その上で読み手が「なるほど!」と思えるような文章を書かなければなりません。

論文を執筆した経験が無いと最初は大変ですが、書き上げると税法等の知識が増え、文章力が上がったことを実感できます。

 

3.ディベート大会

東京青税では毎年10月に青山学院大学の法学部ゼミ生と税法をテーマにディベート大会を行っております。

このディベート大会では実際にあった税務訴訟の判決を基に、課税庁側、納税者側とそれぞれの立場になって主張する「判例ディベート」と、現行のとある税法の是非を納税者側、国側とそれぞれの立場になって主張する「政策ディベート」で青学生と東京青税が対戦します。

対戦に当たっては、まずディベートの試合において論題に対する自分たちの主張を述べる立論を作成していきます。

この立論もセオリーがあり、例えばまず結論を述べ、次にその結論の理由を税法やその他の法律の条文などを示しながら説明し、その次に論題の事例にあてはめて結論の判断の妥当性を主張し、最後に改めて結論を述べます。

そう考えると立論作成には、税法の知識がまず必要となりますし、その上でその立場に立った解釈を考えなければなりません。

更に相手の主張に対する矛盾点を炙り出し、それを論理的に主張しなければなりません。

それだけでもかなり難易度の高い作業ですが、ディベートでは反対尋問、反論、最終弁論と口頭での丁々発止のやり取りがあります。

ここでもある程度準備はしますが、想定外の質問も時としてありますので、それに対しても的確に反論しなければなりません。

これらは正に税務調査での調査官とのやり取りそのものという感じです。ディベートを経験することが出来れば、税務調査のスキルを磨けるということがお分かり頂けたのではないでしょうか。

 

東京青税は税理士のみならず、税理士試験に官報合格しているなどの税理士有資格者も会員となれます。

また団体名に青年とついていますが、年齢制限はありません(心が若ければ良いんです!)。

これから税理士を目指される皆さま、官報合格した暁には東京青税に入会して頂き、このような活動が一緒に出来ることを楽しみにしております。