かつて日本では、長く働くことが美徳とされ、昭和・平成の時代は、休まず働く経営者や管理職ほど「頑張っている」「責任感が強い」と評価される風潮がありました。

しかし、令和の経営環境は大きく変化しました。人手不足、働き方改革、そしてAI時代の到来などなど…

今、事業主に求められているのは、「長時間働く人」ではなく、「限られた時間の中で高い成果を生み出せる人」と言えるのではないでしょうか。

そんな世の中を反映してか「タイパ」なる言葉も生まれてきました。

 

タイパとは「タイムパフォーマンス (Time Performance) 」を略した言葉で、費やした時間に対して得られる効果・成果・満足度を指します。

日本語では「時間対効果」とも呼ばれ、限られた時間の中でどれだけ高いリターンを得られるかを示す指標です。

言葉としての認知が一気に広まったきっかけは、三省堂が主催する「辞書を編む人が選ぶ今年の新語 2022 」でタイパが大賞を受賞したからだそうです。

これを機に若い世代だけでなく、ビジネスパーソンや企業にも広く知られる言葉となりました。

仕事の中でタイパを意識することで、高い成果を生み出せる人になれる…そう思われた方、ちょっと待って下さい!

 

というのもこんな状態、経験したことありませんか?

— 時間はあるのに集中できない、やる気が起きない、考えがまとまらない。逆に短時間でも驚くほどアイデアが浮かび、仕事がサクサク進む —

これは単なる気合や根性の問題ではなく、実は休む量や質以上に「休むタイミング」が影響していることがあるからなのです。

つまり仕事に費やした時間の効果等だけを追い求めるのではなく、「頑張るタイミング」と「休むタイミング」を見極める「タイミングマネジメント」の力も必要であるということです。

具体的には限界まで我慢せず、「今は少し脳を休ませた方が結果的に成果が上がる」と判断したら、疲れる前に休む習慣をつけるようにするのです。

例えば、短時間でも意識的にスマートフォンから離れる、移動時間にあえて情報を入れない、昼に10分だけ目を閉じる、自然の中を歩く。

こうした小さな休息は決してサボりではなく、脳を回復させ、次の成果を生み出すための準備時間なのです。

また、「タイミングマネジメント」では、「今、本当にやるべきか」を見極める視点も重要です。

疲労が蓄積している夜に重要な意思決定をしない。感情的になっている時に部下指導をしない。集中力が高い時間帯に考える仕事を入れる。逆に単純作業はエネルギーが低い時間に行う。

自分の状態を観察しながら仕事と休みを組み立てることが、生産性向上につながります。

 

実は私もこの「タイミングマネジメント」という概念は最近知りました。

改めて自分の仕事ぶりを振り返ると、時間の無駄を無くすべく今日やらなければならない仕事をパズルのように当てはめてスケジュールを組むことに躍起になって、時間帯によるパフォーマンスの高低はあまり考えていませんでした。

その結果、疲労が蓄積している時間帯に重要な仕事をしてしまい、後にミスが発覚して修正するという二度手間なことをしていましたね。

今は反省して時間帯によるパフォーマンスの高低も考慮に入れてスケジュールを組んでおりますが、以前と比べると生産性が上がったことを実感しております。

 

自分の状態を整え、最適なタイミングで動き、最適なタイミングで休む。そして周囲にも良い循環を生み出す。

それこそが、令和の時代に求められる「できるリーダー」の姿なのではないでしょうか。

(参考:東商新聞・第2235号/「令和の経営者」への意識改革、できるリーダーの休み方)