昨年以前の話ですが、提携先より当事務所に税務顧問のご依頼を検討したいという方のご紹介がありました。その方は建築設計をメインでされている他、飲食業やレンタルスペース業なども行っており、年商は億を超えるほど。正に「ヤリ手社長」といった感じですが、一方ではこんな側面も…これだけ売上が上がっているので右腕、左腕となる社員を採用するもののことごとく裏切られ、終いには会社の資金を横領され、資金繰りに窮することもしばしば。当然顧問税理士はいたものの、その窮状に対し何も支援が無かったとして毎年のように解約、契約の繰り返しで首をすげ替え。そろそろそんな状況を打破したく、長く付き合える税理士をということで当事務所に白羽の矢が上がったという感じでした。私も過去の状況を細かく確認し、その中で当事務所が出来ることを提案してみましたが、その方は「自分はこういうビジネスをやりたい。そのための支援が欲しい」と仰ってきました。ただそのビジネスはまだまだ日本に根付いておらず、本気でやろうと思ったら時間もお金も必要でした。それであれば尚のこと、現在稼げているビジネスをしっかり回してまずは必要な資金を確保し、ゆくゆくは自分の手から離れても回るような態勢が出来るようマネジメントを行うことが重要であるとお話ししましたが、「それは今までの税理士全てに言われた」との回答。それで私は全てを悟り、契約は私の方から辞退させて頂きました。
一人で億の売上を稼ぐのは、ビジネスマンの能力として素晴らしいの一言で羨ましい限りです。しかしその売上高に見合ったマネジメントを勉強せず、専門家の提案にも耳を貸さず、唯我独尊で我が道を進む、これでは宝の持ち腐れです。
そうならないためにも経営者は常に冷静な分析が必要であり、先月の事務所通信で「SWOT分析」をご紹介致しました。そのご説明した際に、まずは外部環境の分析を行うことがセオリーで、それが終わったら内部環境の分析を行っていくということをお伝えしました。では分析すべき内部環境の具体例ですが、主に以下のような要素が挙げられます。
「商品・サービス」「技術力」「商品の品質・価格」「顧客データ」「認知度・ブランド力」「予算(資金力)」「社員数」「立地」など…更に言えば中小事業者は事業主の力量に左右されることも多いですから、「性格」「思考傾向」を入れても良いかもしれません。
これらの項目を可能な限り数値に落とし込んだ上で、競合他社と比較し「強みとする部分」と「劣っている部分」を明確化していきます。しかし数値化できない定性的な要素もありますし、何よりも自社を客観的に分析することは中々難しいかと思います。そこで重要になってくるのが「他社の目」であります。ただ「他社の目」と言っても競合他社に見てもらう訳にはいかないので、「異業種である協業他社」にお願いすることになるかと思います。その中でも資金面での情報に厚い税理士は適任であると私は思っております。もちろんご相談があればご対応させて頂きますので、もし自社の状況を客観分析する(己を知る)必要がある時は、当事務所にお問い合わせ下さい。