最近朝の情報番組を見ていると、交通事故映像や危険運転映像をよく見かけます。

こういうのが多くなると「ネタ切れなのかな?」と思ったりもしますが、それはさておきドライブレコーダーの普及によって、このような映像を目にする機会が多くなったことは間違いありません。それにより交通事故加害者、危険運転者の顔や事故の詳細が映像ではっきり残ることで、事故解決のスピードが格段に速まることは大変喜ばしいことです。

私もプライベートで事故に遭ったこともありますし、それこそ前職時代は何十回とアルバイトが起こした事故処理に当たりました。中には相手方と事故状況の見解の相違が生まれ、解決まで大変な時間を要したものもあっただけに、余計にそう思います。

 

さて交通事故を起こした場合、加害者ともなれば当然ですが、過失が少しでもあれば責任を負わなければなりません。

法律的には民事上の責任(被害者の被った物的、人的損害を補償し金銭により現状回復を図る)、行政上の責任(交通事故に対し点数が付加され、一定点数に達した場合免許停止、免許取り消しなどの処分を受ける)、刑事上の責任(法律違反を犯して事故を起こした場合に懲役、禁固、罰金などの刑罰を受ける)があります。

しかしそれだけではなく、法律には無い道義的責任(被害者に対するお詫びの連絡やお見舞い、示談交渉等において人としての良識に基づいた行動を果たすこと)も求められております。なぜかと言えば、被害者に対するお詫びやお見舞いなどの初期対応を誤ると、被害者の処罰感情が悪化して刑事責任が重くなる、相場以上の損賠賠償金を請求されるなどの事態へと発展しかねないからです。

 

これはビジネスの場でも同じことが言えます。ビジネス上では「民法」「商法」「会社法」などが法律上のベースとなり商取引が成立します。

商取引は口約束でも成立しますが、後々トラブルに発展することを避けるため、大きな取引については契約を締結するのが一般的ですよね。契約を締結した後は、契約書に則って取引をする訳ですが、契約書に記載が無ければ何しても良いのでしょうか?

当然ですがそんなことはありません!ビジネス上でも人としての良識に基づいた行動を果たさなければなりません。

 

それをしなかった事例として、私が修業時代の税理士事務所で担当していたとある社長の実話をご紹介します。

その社長はどういうビジネスが今後流行っていくのかの先見性があり、そのビジネスで力を発揮しそうな人間の目利きに優れ、面倒見も良かったので、あっという間に年商は数億円規模に。

しかしその反面、ビジネスで支出するカネにはうるさく、過度に値切ることや、提携業者が苦労して探した外注先も「高い!」と言って、社長の一存で直前になって変更することもしばしば。そのため提携業者との軋轢も絶えず、私もその度に板挟みに遭っておりました。

そんな折、ある提携業者がカネ欲しさに大型案件を意図的に飛ばしていたことが判明しました。勿論社長はパニックに陥り、善後策を打ったことで最悪の事態は免れたものの経済的損失は大きく、裏切られたショックで社長はその後うつ病に罹ってしまったそうです。

提携業者の行為も決して褒められたものではありませんが、社長のパワハラまがいの何でもあり行為が問題の発端だったことは言うまでも無いですよね。

 

ご紹介した事例はかなり極端ではありますが、法律や契約上の責任は果たしていても、相手への配慮が足りなかったばかりに関係が拗れてしまうことは良くあります。

私も自戒の念を込めて、経営者の責任について改めて考えコラムにしてみました。