加納税務会計事務所、所長税理士の加納豊彦です。この度は当事務所ホームぺージを閲覧頂き有難うございます。

 

私は税理士として11年前に開業致しました。

親族に税理士がいない、以前勤務していた税理士事務所からの暖簾分けも無い状況で開業しましたので、最初顧問件数はゼロでした。

当然営業活動を頑張らねばと思いましたが、税理士の営業ノウハウもほとんど無かったので、やることなすこと上手くいかず、暗中模索の日々が続き、本当に不安しかありませんでした。

しかし自分の力を信じて、税理士の先輩のアドバイスを積極的に聞き、ビジネス交流会にも積極的に参加しながら色々と試行錯誤を繰り返して参りました。

こうして様々なことに取り組んだことで徐々にお客様の数は増え、4年目位で税理士業を軌道に乗せることが出来ました。

その後もお陰様でお客様の数は増え続け、自分一人では対応できなくなるほどになったので、6年目の2020年より現在の事務所に移転し、従業員を雇って業務を行うようになりました。とは言え従業員採用は苦難の連続でした。

 

昨今は少子高齢化の加速、先進諸外国との物価の差により外国人労働者の確保が難しくなるなどの要因により人手不足は社会問題となっておりますので、当事務所だけの悩みでは無いことは重々承知しております。

しかし大手税理士事務所と比較すると、どうしても資力では太刀打ちできず、我々のような零細事務所が採用できる人材の母数が限られてしまっております。

そんな中、当事務所の理念や経営方針、勤務体系、給与体系などに理解を示し、勤務してくれているスタッフがいることは本当に有難い限りですが、一方、勤務してくれていたものの、考え方の違いから当事務所を離職するスタッフも少なからずおりました。

こういったことに直面した時、もちろん何が原因か深く考えます。その原因について本人の資質の問題があってやむを得ないケースもありましたが、私の中で釈然としない何かを感じておりました。

その釈然としない何かについて改めて考えましたが、「税理士の業界のことを正しく、しっかり発信していたか?」というところに行きつきました。

結局この部分が出来ていなかったが故に、誤った税理士業界像が求職者の中に生まれ、就職後のミスマッチに繋がったのではないかと思いました。

 

税理士は国家資格ですので、社会的ステイタスがあり誇れる仕事であると私は思っております。

ただそれだけ責任が重く、その責任を果たせる人材かどうかを確認する税理士試験にまずは合格しなければなりません。

税理士試験は最終合格率約3%と言われるほどの難関試験です。私も受験開始から11年掛かって税理士登録が出来る官報合格に至りました。

しかしこれだけ試験で苦労しても、税理士に登録すれば食べていけるほど甘い世界ではありません。

税理士となった後も毎年の税制改正の内容をキャッチアップしなければなりませんし、それ以外のことも勉強し続けていかなければなりません。また顧客獲得のために営業活動も行わなければなりません。

そういったこともあって昨今では若い方が税理士を目指さなくなったという話もよく聞きます。

あと残念ながら経営マネジメントを学ばずに人を雇って事務所経営をしている税理士も多く、その結果、残業過多やパワハラなどが横行する事務所の噂は絶えず、いつしか「税理士業界はブラック」とのレッテルを貼られてしまっています。

もちろんそんな事務所ばかりでないですし、業界内でも税理士試験に掛る年数や事務所の労務などは問題として認識して、鋭意改善に取り組んでいます。

 

税理士になるまで、また税理士になった後も大変なことは多いですが、もちろん働き甲斐や魅力もいっぱいあります。

そういった税理士や税理士業界の実情を正しく、しっかり発信すべく、このコラムを書いていこうと思います。

それで少しでも税理士という職業に魅力を感じて、意欲のある方がこの業界に入ってくれることを切に願っております。