日本のプロ野球では、横浜DeNAベイスターズがシーズン3位から下剋上を果たし、26年ぶりの日本一を掴み取り終了しました。

日本一に貢献できた選手は年俸アップ、メディアへの多数の出演で人気アップとバラ色のオフが過ごせますよね。

一方日本シリーズに進出できなかったチームは、来シーズンに向け既に動き始めていますが、成績が芳しくなかった選手やチームの監督の中にはクビを宣告されるなど、プロスポーツの厳しさ、非情さを目の当たりします。

実際、来期は12球団中5球団の監督が変わり、寂しさもある反面、それにより低迷していたチームが良化することを期待してワクワクする、野球ファンにとってはいろんな思いが交錯する時期でもあるのかなと思います。

 

そんな中、阪神タイガースはここ2年、日本一、2位と好成績で推移していたのにも関わらず、体調面の問題により岡田監督が退任し、藤川球児監督が就任致しました。

藤川監督の略歴をご紹介しますと、1980年7月高知県生まれで現在44歳。

高知商業高校では2年時に甲子園に出場し、更には高校日本代表に選ばれるなど能力が認められ、1998年のドラフト会議では阪神から1位指名を受け、投手として入団しました。

しかしプロ入り後は期待とは裏腹に思うように結果を残せず、5年目のオフには戦力外通告を受ける直前の状態に。

そこで6年目は退路を断つ覚悟でフォームを改造し、それが功を奏して後半から戦力として1軍に定着。

7年目の2005年は開幕から勝ちゲームの7回を任されるようになり、それが大当たり。並み居る強打者から三振の山を築き、阪神タイガースのリーグ優勝に大きく貢献。

その翌年より最終回を任されるようになり、絶対的守護神として長く活躍。2020年に引退するまでに782試合に登板(歴代9位)、60勝38敗243セーブ(歴代5位タイ)163ホールド(歴代7位タイ)という華々しい成績を残しました。

 

藤川投手の最大の武器は、来ると分かっていても打てないストレート。その圧倒的な力は「火の玉ストレート」と形容されたほどでした。

それだけを見ると正に剛腕という感じでしたが、実際に対戦したとある強打者の印象はというと、何と「上手い投手」という意外なものでした。

どこが上手かったのかというと、同じようにストレートを投げているようでも投げるタイミングや角度、ボールにかける回転量を微妙に変えたり、試合状況、相手の力量を見極めた上で、一番仕留められる確率が高いボールを絶妙に選んでみたりしていたとのことでした。

藤川氏は引退後野球評論家となりましたが、選手の力量、心理状況、試合展開を読んだ上での配球分析がズバズバ当たり、更に解説も分かりやすいことから、野球ファンからは「神解説」と称されたことで、実は「上手い投手」であったことに納得がいきました。

やはりどんなに速く素晴らしいストレートを投げられるとしても、それだけでは打たれるのがプロです。

藤川氏はプロで中々芽が出なかった時期が長かっただけに、打たれないための試行錯誤を繰り返し、球種をいたずらに増やすことなくこのような細かい技術を身に付けたのかなと思います。

 

このような話は銘菓と呼ばれるものでもよくあることの様です。

銘菓には「創業○○年、変わらぬ美味しさをお客様に」なんてキャッチコピーをよく目にしますが、実は味を定期的に微妙に変えているそうです、食べた人が気付かない程度に…これも全く同じ味で提供してしまうと飽きてしまうので、そういう工夫をしているとのことです。

 

中小零細企業ですと、そんなに品数を増やして勝負することは難しいと思います。

しかし少ない品数であったとしても、微妙な変化を加えることによって実はバリエーションが何倍にも増えます。

業績が上がらないとついつい手を広げてやろうと思いがちですが、その前に既存の商品に微妙な変化を加えてみてはいかがでしょうか?