突然ですが、皆さんは「素直」ですか?
松下幸之助氏をはじめ、多くの偉大な経営者は、素直さをとても大事にしていましたが、
一方で経営者はたいてい「頑固」で物事の判断に絶対の自信を持っていて、自分が正しいと思い込んでいる場合が多いようです。それは、そうでなければやっていけないほどの重責を背負っていることの表れかもしれません。
これは後継者とて同じです。
後継者の人生の師は望むと望まざるとに関わらず自分の親です。
その親が手本なのですから、無意識に自分もその振る舞いを真似てしまいます。
このような「頑固」な経営者・後継者は、身近な人のアドバイスをこう受け取るのではないでしょうか?
「自分の会社やその経営のことは、自分が一番詳しい。
状況を知らない人からのアドバイスは参考にしても従うことは無い」と。
しかし実際に経営していると、
知識があり、現場を知っているからこそ、
その世界の常識に縛られることが多いものです。
自分の知識の範囲で上手くいくのは、小さな世界でのことで、
もしそれ以上を目指すなら、自分の知っている世界の外側を見る必要があります。
それは同じ視点で物を見ている人ではなく、全く違う次元の思考を持った人から、となるはずです。
そう考えると、時として自分と違う世界に住む人の意見の方が、より参考になることもあるのではないでしょうか。
では改めて「素直」な人とはどんな人なのか?
私も、少し考えてみました。
良い意味での「素直」な人とは、
こだわりを捨てた上で、時には「従順に」他人のアドバイスや周囲のシグナルを受け取れる、そのような人ではないか、と考えます。
ここで、ある後継者が上記のような「素直」な人を目指し、実践したことで、上手くいった事例をご紹介します。
その後継者は自分の人生に常に不足感を感じ、自分を変えたいと考え続けていました。
しかし、どんなに勉強をしても、どんなにセミナーを受けても余り状況は改善されませんでした。
そんなある時、「誰かのアドバイスも、たまたま声を掛けられたお誘いも、仕事に関係のない業界団体のお役も、全部受け入れてやろう!」と思ったそうです。まさに、「素直」な人で在ろう、としたのでした。
なぜかと言えば、これまで、自分で選んだこと、つまり自分の脳の思考パターンで色々なことをやっても満足な成果が出なかったからです。それを超えるためには、、自分で考えたことではなく、他者の考えを取り入れてみようと思ったからでした。
それからは、色々なことを受け入れ、また、任されたことをを一生懸命やったそうです。
そうすると、連鎖的に次々と新しい展開が広がっていきました。
あるとき、先代である父の代理である業界団体に所属することになったそうです。若いから頼みやすかったのか、入会直後だったにもかかわらず、事務局長を拝命し、昔だったら受け入れないような要請でしたが、その時はそれを受け入れて一生懸命役をこなしたそうです。そうしたところ、…やがて「会長に」と声が掛かり、若いうちにその業界でそこそこ目立つ存在になれたとのことです。
こういった経験をしたその経営者は
「不思議なもので、受けた役や仕事そのものが自分の転機になるというより、
そこから様々な連鎖を経て、数カ月や数年後に大きな成果に結びつくということが多かった」との感想を述べています。
これは、「素直さ」が、後々の成果に結びついた事例と言えます。
しかし素直であり続けることは決して楽ではありません。
何しろ拒否権が無いのですから、嫌なことや不安なこともやる必要が出てきます。
ただ逆に言うと、絶対自分では選ばない選択肢を素直(=従順)な人だけが受け入れることになります。当然葛藤はありますが、それを乗り越えることで成長できる面があるのです。
経営者の年齢が高齢化すると、会社が衰退する傾向があるとすれば、それは自分の経験や思考回路の外にあるものを受け入れる「柔軟さの欠如」が原因かもしれません。
ましてや後継者は、凝り固まった小さな思考回路で物を考えてはいけないのです。
偉大な経営者たちの言う、「素直」さには、どんな意味が込められているのでしょうか?
私なりに解釈するとしたら、…
意固地に我を通そうとするのではなく、様々なものを取り入れる「柔軟さ」を意味して「素直」と言っているのではないでしょうか?
あなたはどう思いますか?
(参考文献:月刊ビジネスサミット2022年3月号)
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