令和6年10 月1日より「中小企業倒産防止共済制度」について税制改正がされましたので、改めてご説明をさせていただきます。
Ⅰ.中小企業倒産防止共済とは
…取引先が突然倒産、そんなもしもに備える安心のセーフティネットです。
①制度の概要:取引先企業が倒産した場合、積み立てた掛金総額の10 倍の範囲(最大8,000 万円)で回収困難な売掛債権等の額以内の共済金の「貸付け」が受けられる共済制度。
②加入資格:製造業、建設業、運輸業等の場合、資本金額3億円以下又は従業員300 人以下。
卸売業の場合、資本金額1億円以下又は100 人以下。
サービス業の場合、資本金額5千万人以下又は、100 人以下。
③掛金月額:5,000 円から200,000 円までの範囲内(5,000 円刻み)で自由に選べます。
Ⅱ.メリット
- 掛金を損金計上、又は必要経費に出来る。※今回の改正に関係あり(後述)
- 取引先が倒産した場合、すぐに借入可能。
- 取引先が倒産していなくても、無担保、無保証で借入可能。
- 加入後に増減額も可能。(減額は一定要件必要)
- 解約した場合でも手当金を受け取れる。
Ⅲ.デメリット
- 起業後1年以上経ってないと、加入できない。※現在の事業を法人成り、法人から事業引継ぎをした場合は加入可能です。
- 掛金納付月数が12ヶ月未満だと掛け捨てになる。
- 掛金納付月数が40ヵ月以下だと元本割れになる。
- 解約手当金は課税対象になる。
- 借入は実質的に有利子で、利息分が掛金総額から控除される。
Ⅳ.改正内容と留意点
令和6年10月1 日からの改正では、中小企業倒産防止共済法の共済契約を解約し、再度契約を締結した場合において、その解約した日から2年を経過するまでの間に支出した掛金について法人課税上、損金算入ができない(個人事業の場合は、必要経費算入ができない)こととされます。
想定されるケースとしては令和6年11 月まで利益が出ていて、通常通り掛金を積み立てていたが、翌月資金繰りが苦しくなり契約を解除。その後、再契約をする場合には解除日から2年を経過するまで(今回のケースでは令和8年12 月)に支出する掛金については、損金算入することが出来ません。
令和6年10 月以降に解約の予定があり、すぐ再契約をしようと検討されている場合にはご注意ください。
Ⅴ.まとめ
倒産防止共済制度は、経営者にとって非常に効果的なリスク管理手段であり節税ツールでもあります。自社の状況やニーズに応じて、適切な掛金の設定や制度の利用を検討することが重要です。
そのためには常に最新の情報を確認し、より効果的に倒産リスクに備えつつ節税対策を検討していきましょう。
ご不明点や詳細をご確認されたい方は当事務所までご連絡ください。