皆さま、明けましておめでとうございます。本年も何卒宜しくお願い致します。
いよいよ2025年に突入しました。ということは2000年代も1/4を過ぎようとしている訳ですが、改めて振り返るとこの間ITの進歩は目を見張るものがありますよね。
我々の税理士業界も会計帳簿の記帳や申告書等の作成は完全にパソコン作業となり、申告書等の提出も特別なことが無い限り電子申告で対応。
またインフラ整備が不十分であるため本意では無いものの、昨年5月より一部税目の納付書が税務署から送付が取りやめとなり、インターネットバンキングやクレジットカードによる納税に嫌が上でも移行せざるを得ない状況になっております。
昨今、人工知能(AI)も急速に発展し、何か調べたいことがあってもChatGPTを使えば、一瞬でネットの情報を集めて丁寧に説明してくれます。
そうなってくると税務・会計の分野においても、専門家である税理士に聞かなくても良くなる日が早晩に来て、税理士の職業が無くなるのではと巷では言われたりしております。それゆえ、税理士業界内でも危機感は相当に感じております。
そういうこともあり私が所属している税理士の外郭団体「全国青年税理士連盟」では、昨年度『新時代に求められる税理士の役割』という大テーマを掲げ、税理士業務のICT化について研究を行い、税理士という職業がなくなってしまうのか否か、多角的に検証をしました。
そこで導き出した答えは「この先どんなにITの進化があっても、税理士という職業は無くならない」というものでした。
では、その答えの理由を税理士の業務(税務書類の作成、税務代理、税務相談)を紐解いて解説してみたいと思います。
まず税務代理をAIが出来るかと言えば、そもそも現行法ではAIは人格が無いため、法律上代理人になりえないですよね。
また税務相談についても、納税者の個別具体的な事情を踏まえて的確に回答するためには、単に数字や事実だけではなく、納税者の性格や人生、雰囲気や歴史なども聞き出す必要があります。
そのためには税理士と納税者との間で信頼関係を築いていかなければならず、さすがにAIではこのような対応は困難では無いでしょうか?
更に税務書類の作成においても、税法の解釈の範囲において採用可能な処理の方法が複数存在するとき、又は相対的な判断を行う必要があるときに、納税者が判断に迷ってAIに選択を委ねた結果、納税額が増えてしまっても、現行法ではAIには人格が無いため責任を問えないですよね。
一歩踏み込んでAIの開発業者に責任を取らせるという考え方も有りそうですが、そんなことをしてしまうとどこもAI開発を行なわなくなってしまうことが予想されます。
ただシンプルな内容で誰が作成しても同じ納税額となるものであれば、AIが税理士に取って代わることは今の技術でもすぐに実現しそうです。
言い換えれば、会計帳簿の記帳代行や申告書等の作成のみしか行わない税理士は、近々AIに淘汰されるかもしれません。
そう考えると、AIの特性を理解した上でAIと連携してデータ整理やルーティン作業を高速かつ正確に行うことで、効率的に業務を進めて時間を創出する。
そして、その時間を活用してお客様と密にコミュニケーションを取りながら戦略的な業務や高度な分析、お客様の業務の改善進捗を指導する時間に充てる。というのが、未来の税理士のあるべき姿ではないでしょうか。
当事務所においても、そのような姿を目指すべく、日々業務に当たって参りたいと思います。