前回の未来の税理士コラムで「税理士の業務内容」を税理士法上でどう規定されているかを説明させて頂きました。

今回は実際、税理士事務所ではどのように業務を行っているのかを説明していきます。

 

法人や個人事業主をお客様として業務を行っている税理士事務所では、法人であれば決算申告、個人事業主であれば確定申告を最終着地点として業務を進めていきます。

法人の決算申告では、「法人税申告書」「法人住民税・事業税申告書」「(消費税の納税義務者であれば)消費税申告書」を、個人事業主の確定申告では「所得税申告書」「(消費税の納税義務者であれば)消費税申告書」を作成します。これがメインの業務の一つである「税務書類の作成」になりますね。

法人税・法人の消費税の申告期限は原則として事業年度終了の日から2月以内、所得税の申告期限は原則として事業年度の翌年3月15日、個人事業主の消費税の申告期限は原則として事業年度の翌年3月31日となっております。

この日までに法人税又は所得税の申告書を作成し、提出しなければなりません。これらの日までに申告書の提出が出来なかった場合「無申告加算税」が納税者に課されたりするなど、ペナルティーが発生します。

 

それだけでなく納税者であるお客様に納税額を伝え、申告期限の日までに納税対応をするよう促すことも税理士の重要な役割です。

納税者であるお客様が申告期限の日までに納税できなかった場合、遅れた日数に応じ「延滞税」が課されてしまいます。

しかしお客様も本業があるので、納税額を伝えられるのが申告期限ギリギリだと対応が出来ないケースも当然出てきます。これではお客様も困ってしまいますので、税理士としては余裕を持って納税額をお伝えする必要があります。

当事務所では申告期限の10日前をリミットとして、申告書の作成を完了させ、お客様に納税額をお伝えすることを基本として業務に当たっております。

 

とは言え法人の決算申告の場合、法人税などの申告書のみならず「決算報告書」「勘定科目内訳明細書」「事業概況説明書」なども作成して提出しなければなりませんので、なかなかの業務量になります。

これらの決算申告書類は会計帳簿が完璧に出来上がっていないと作成出来ませんので、まずは決算申告書類作成の前に会計帳簿の完成を目指します。

この会計帳簿には、法人や個人事業主の事業年度中の売上、経費、お金の入出金などの取引を全て記帳しなければなりません。

しかもエクセルで金額だけを集計すれば良い訳では無く、簿記のルールに基づいてという大原則があります。つまり簿記の知識が無ければ、税理士事務所の業務がほぼ出来ないと言っても過言ではありません。

当事務所でも従業員の採用に当たっては、最低簿記3級を取得していることを要件としています。税理士事務所に就職希望であれば、まずは簿記の知識をつけるようにして下さい。

 

会計帳簿の記帳ですが、概ね1カ月単位で業務を進めていきます。そのためにはお客様に請求書、領収書、銀行口座の記帳データ、クレジットカードの取引データ、給与明細などの記帳に必要な資料・書類を収集しなければなりません。

ただその前段階として、お客様がどのような事業をされていて、どんな商流でどういった書類が必要なのかを的確に抽出する必要があります。そう考えるとお客様から商流を聞き出す質問能力、そこから的確に必要書類を抽出する分析力も税理士に必要な能力と言えます。

またお客様は基本税務・会計の素人ですので、プロの専門用語を使っても理解して頂けないことが殆どです。従って必要書類の収集では、素人でも分かりやすく伝えることが出来るかということも重要です。

 

このようにしてお客様から必要書類を収集して情報を集め、簿記のルールに従って記帳をして、申告月になったら税務申告書及び提出すべき書類を作成し、税額を算出します。

そしてこれらの書類を所轄の税務署等に提出し、お客様に納税額をお伝えします(必要に応じて納税額を記載した納付書をお渡しします)。

これをお客様の数だけ同時並行で行うことになります。ご契約頂いている数が多ければそれだけ大変な業務量ですので、税務・会計の理解及び記帳のスピード、決算申告書類の作成スピードも非常に重要ですね。

もちろんお客様ごとに決算月は変わりますので、その月だけで見ればお客様の状況は様々です。そのため進捗管理は非常に重要ですし、マルチタスクで業務を進めていく能力も求められます。

これが税理士事務所の基本的な業務内容になりますが、これ以外にも色々業務はあります。それらは次回以降でご説明して参ります。