先月から引き続きの話で恐縮ですが、東京青年税理士連盟(以下「東京青税」)の会長に就任し1月半が経過しました。
この間に各部、各委員会の本格的な稼働が始まりましたが、初めて部長、委員長を任されたり、東京青税に入会して日が浅かったり、年齢的に若く人生経験が浅かったりして、上手くいかないところも何カ所か出てきております。
上手くいってないところを放置すると、後々組織として重大な問題が出てきますので早めの対処が必要なのですが、そんな時どの程度まで手を貸してあげるかはなかなか難しいですね。
これは仕事でもそうですが、ある程度の規模の組織になると、経営者だけで業務を何から何までやるのは不可能ですから、従業員を雇って業務対応をお願いしている訳です。
しかしながら一般的には経営者の方がどの業務に対しても経験値が高いですから、従業員の仕事ぶりにもどかしさを感じることも良くある話です。
そこで自分の方が早く終わると言わんばかりに、依頼していた業務を取り上げてしまいがちです。
実はかく言う私も、飲食店時代初めて店長になった時はそんな感じでした。
そうして対応すると、確かにその場は何とかトラブルも無く乗り越えられるのですが、すぐさま同じような状況に陥ってしまいました。
このやり方だと永遠に状況は改善しないと悟り、あれこれ考えていたところ、たまたま日本人が発展途上国の支援で奮闘する姿を取り上げたテレビ番組を目にしました。
この番組で取り上げていた発展途上国は渇水しやすい地域で、慢性的な水不足によって毎年多くの国民の命が奪われていました。
であれば日本からペットボトル入りの水を送ることで、救える命を増やそうと支援しているのかと、てっきり私は思っておりました。
しかし日本人の支援者はそうではなく、何と現地の住民に時間を掛けて井戸を掘る技術を教えていたのでした。
その後日本人支援者のインタビューがありましたが
「水を送れば、その場の喉の渇きは潤せるかもしれないが、水という物資の支援が無くなれば、直ぐに同様の状況に陥ってしまうし、現地の住民も物資に頼ろうという気持ちになってしまう。
この国の課題の本質は「安全な水を国民に継続的に提供する」ことであり、その課題を解決するにはインフラの整備、つまり井戸の掘り方を教えることであると思い、その支援をしている。」
と聞き、私はハッと思いました。
私は店内業務が上手く回っていないと、従業員に任せていた業務を取り上げてしまい、その結果、従業員の経験値が上がらないばかりか自信を喪失させ、その上従業員の心の中に、イザとなったら店長が手を貸してくれるとの甘えの気持ちを生み出していたのでした。
それから私は「従業員が自立して業務が出来る」ようにするのが自分の使命と考え、従業員に業務を任せる際、最初に全体像と重要ポイントだけを伝え、細かいところはやりながらレクチャーしていくようにしました。
最初はもどかしく思うこともよくありましたが、そこはグッと堪えました。そうすると程なくして従業員が自分の役割をしっかり理解する様になり、私が細かく指示しなくても自分で考えて業務の対応に当たれるようになりました。
ただ全員がそう出来るようにはなりませんでしたので、理解が十分でない従業員にはサポート体制を手厚くしたり、力を発揮できそうなポジションに配置転換したり、時としては非情ですが別の道を勧めたりして、組織力維持に努めました。
東京青税は任意団体ですので、営利企業とは同じようにいかないとは思いますが、このスタンスは変えずに取り組んでいきたいと思います。
従業員の成長がなかなか見えず、組織力が停滞していると感じている方は、こちらを参考にして頂ければと存じます。