バブルの時代を知っている方は「24時間闘えますか?」というCMをご記憶の方も多いと思います。今の時代なら大問題でしょうが、当時は当たり前だったように思います。

その時現役バリバリで働かれていた方々の中には、晩年まで仕事一筋で、家庭を顧みない生き方をされていた方も少なからずいらっしゃいました。

その結果何が起こるかというと、家族からも敬遠され、一人でなくなっていかれる方が一定数いらっしゃいます。

一生懸命働いた結果、孤独の中で生涯を閉じていく、そんな人生を望んでいる人は多くないと思います。では、どうすれば良いのでしょうか?

 

経営者は周囲に認められたいという思いがとても強いため、鬼気迫る勢いで仕事に没頭しがちです。

その中でも特に後継者は、何かと先代と比べられがちで、周囲のみならず先代に認められたいと思って、家庭を顧みず、仕事に邁進し、常に肩を怒らせているのではないでしょうか。

それで業績が上がるかというと、社員はついてこれず大量退職を招き、家庭においては殺伐とした空気感が漂うため、家族の体調不良を招くなど、あっちでもこっちでも炎上状態。

最後は自分自身が追いつめられるという結果を招いてしまうことの方が多い様に思います。

そんな話を聞いた上で、改めてご自身の「将来の夢」について考えてみて下さい。そして、その夢の内容を次の6つに分類してみて欲しいのです。

①経済と職業面→仕事とお金に関する分野

②家庭と家族面→妻子や親・親戚との関係

③教養と教育面→自己成長の機会を持つこと

④健康と身体面→運動や食事に気を遣うこと

⑤社会と文化面→社会にどんな影響を及ぼすか

⑥精神と倫理面→心の平安を保ち、高い倫理観を持つこと

家族との関係を失えば、冒頭の経営者の様に孤独な最期となるかもしれません。

常に新しい学びを求めなければ、日々は味気ないものになるでしょう。

健康を損なえば、活動が制限されますし、社会に良い影響を与えてこそ、人は尊敬されます。倫理観は人との信頼関係を生み出します。

これらのことは全て相互に関係しあっています。仕事の持続的な成功を求めるなら、全ての分野でのバランスを取っていくことがとても大事です。

もし、①の分野に偏っているとしたら、今日からほんの少しでも②~⑥に関わることを意識し、小さな実践を続けてみて下さい。不思議ですが、仕事にも良い影響が出るはずです。

 

後継者という立場は、多くの場合生まれてきた時から「家業を守る」という使命を背負っているのではないでしょうか。何だか、会社を継ぐために生まれてきたような錯覚に陥ることさえあるのではないかと思います。

しかし家業や職業は、この人生を謳歌するという生きる目的を達するために、たまたま手にした手段に過ぎないのです。

となると、大事なことは自分の持つ特色、経験、知識、才能をいかにして会社や仕事を通じて表現するか?ということがテーマなのではないかと思うのです。

自分の能力を最大化させるには、様々な角度から自分を見つめる必要があります。その一助となるのが、前出の人生の6分野となります。

今までは、この中の経済と職業面のホイールばかりを回転させていたのですが、他のホイールを回転させると、人生全体の推進力が大きくなっていくことを実感されるのではないでしょうか。

 

後継者の方は、良い経営者になりたいという思いがあると思います。良い経営者になるには、人として成長することが必要です。そのためには日々何を意識するかがとても大事です。

是非そのきっかけとして、人生の6分野を意識してみて頂ければ幸いです。

(参考文献:月刊次世代経営者2025年3月号)