インボイス制度のお話しも4回目、これで一旦一区切りとなります。前2回では大きく影響を受けるであろう課税事業者である個人事業主や免税事業者がこれから対応すべきことをお話してきましたが、今回は既に課税事業者である事業者がこれから対応すべきことをお話していきたいと思います。

課税事業者については体制が変わらないのだから何もしなくてもと良いということだと一番ですが、残念ながらそういう訳にもいきません。現時点で考えるべきこと、対応すべきことは3つあります。

①適格請求書発行事業者の登録

仕入税額控除が受けられる取引先になるためには、その情報を相手方に伝えなければなりません。そのためには納税地の所轄税務署に「適格請求書発行事業者の登録申請書」をまず提出する必要があります。それにより税務署による審査を経て登録された場合は、登録番号などが通知及び公表が行われ、その公表情報はインターネットを通じて確認することが出来ます。これで晴れて請求書又は領収書に登録番号を記載することが出来るようになります。上記登録申請は本年10/1より受付開始です。

なお登録番号は「ゴム印」での押印でも問題ありません。このインボイス制度導入を機に、高額な請求システムやレジを売り込んでくる業者がこれから出てくるかと思いますが、それに無理に応じる必要はありません。

②記帳資料の適切な管理

消費税の計算上、仕入税額控除を受けるためには請求書又は領収書に登録番号が記載されている事業者のものしか認められません。それを判断するにはその原始証憑が必要になります。もちろん従来から事業者には請求書等の保存が義務付けられておりますが、税理士との記帳代行のやり取りの中で口座からの振込について内容のみを確認するのに留まったり、クレジットカード決済した経費を明細から数字のみを拾い上げて計上したりということも従来は黙認されておりました。それが今後は全ての請求書、領収書の確認が必要になりますので、今まで以上に資料を揃えておかなければなりません。また自計で会計データを入力されている方も、証憑のアップロードが必須になることが確実です。

ただ勘違いして欲しくない点として、上記の書類を揃えれば(証憑を会計ソフトにアップロードすれば)帳簿への記帳は不要ということにはなりません。帳簿の記載事項は「日付」「取引内容」「取引先名」「金額」であり従来と変わりません。

③仕入先等の選別

課税事業者にとって免税事業者からの買い物は納税額の増加に直結します。影響が少額であればそのまま取引を続けても良いかと思いますが、大口で取引をしていると無視できないほどの負担になるかもしれません。そうなった場合「取引先に課税事業者になってもらう」か「値引きを要求する」か「別の業者に切り替える」かの選択をしなければなりません。長くお付き合いしている取引先には非情とも言える行為ですが、それだけに時間がある今の段階で1件1件腹を割って話す必要があるでしょう。

 

以上意外とやることが多くて大変かなと思われている方も多いかと思います。だからこそ導入の2年以上も前ですが4回に分けてコラムにして、事業者の皆さまに少しでも準備をして頂ければと思った次第です。法律として決まった以上は腹をくくってやるしかありません。その中で分からないこと、不安なことがあれば税理士に何なりとご相談下さい。

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