「インボイス制度の導入」「金融機関の環境の変化」といずれも中小企業、個人事業主にとっては非常に厳しい状況に突入し、改めて経営者として覚悟を持って取り組まなければ淘汰されていくことを前回のコラムでお話しさせて頂きました。だからと言ってただガムシャラに頑張れば良いという訳ではありません。皆さまは業務管理の継続的な改善方法である「PDCAサイクル」をご存知でしょうか?

このPDCAサイクルは「Plan:従来の実績や将来の予測などをもとにして業務計画を作成する」「Do:計画に沿って業務を行う」「Check:業務の実施が計画に沿っているかどうかを評価する」「Act:実施が計画に沿っていない部分を調べて改善をする」の頭文字を取っています。この4段階を順次行って1周したら最後のActを次のPDCAサイクルにつなげ、螺旋を描くように1周ごとに各段階のレベルを向上させて継続的に業務を改善し、事業の発展へ繋げていきます。何をすれば良いのか迷われている方は、まずこのPDCAサイクルに沿って行動して頂きたいのですが、その中でも最初の「Plan(計画)」は一番重要と言えます。例えば登山をしようと考えた時、登ろうとする山が標高3,776mの富士山と標高599mの高尾山では求められる能力、準備しなければならないもの、必要な資金が格段に違いますよね。登る山が決まっていなければ、何をすべきかなど分かり様が無いです。これは経営でも同じで、まずどこに目標を置くかで必要な能力(スキル)、業務工数(タスク)、資金を検討し、逆算して計画を組んでいく必要があります。

その事業計画ですが、まずは「目標」を立てるところからスタートして頂ければと思います。その目標も「定量」「定性」の2つを立てて頂きたいです。「定量目標」は数字を用いて設定した量的な目標で、例えば「売上高〇千万円」「年間新規顧客獲得件数△件」などのようなものです。一方「定性目標」は数値化することが難しい、目指すべき状態や行動・思考に対する価値観を表した質的な目標で、例えば「新規顧客獲得のためにホームページでコラムを書く」などのようなものです。

定量目標を立てるときの注意点ですが、1年後の目標ということであれば余り高いハードルを設定しない方が賢明です。まずはちょっと頑張れば手の届くところで、成功体験を少しずつ積み上げていきましょう。また定性目標は定量目標を達成するための行動指針と考えて立てると、何をすべきかが明確になりますよね。これらの目標が立てられたら次は詳細に数字に落とし込んでいく必要がありますが、これには慣れが必要です。そのご支援は当事務所で行えますので、上手く数字を落とし込む自信のない方は是非ご相談下さい!