本年10月に控えているインボイス制度の導入に関し、会計ソフト会社より早く対応しなければ大変なことになるとのTV-CMがここ最近、頻繁に流れていますよね。CMなので誇張した表現になることが多いのですが、今度ばかりはそうとも言えないと断言しても良いかもしれません。そういった危機感は税理士業界の中で顕著に広がっております。それを表すかのように、先日知人税理士より「契約していた税理士より急に解約の通知が来てしまって困っている。先生のところと契約して頂けないでしょうか?」という様な問い合わせがあったと聞いております。その知人税理士が相談者に色々と状況を確認すると、その契約していた税理士とは実際には契約しておらず、年に1回スポット扱いで決算を依頼していて、資料も丸投げ。それで支払っていた税理士報酬は総額10万円ほど。そこで決算が終了したタイミングで税理士より正式契約及び値上げしたい旨の申し出があったものの、スルーしてしまったとのこと。それを聞き、知人税理士は先の税理士が顧問先としてふさわしくないところを(手間が掛かる割に金払いが悪い、レスポンスが悪い)、インボイス導入前に厄介払いとばかりに先手を打って解約を申し出たのではないかと考え、受任しなかったようです。

確かに税理士事務所としてもインボイス制度に合わせて対応しようとすると、お客様に対しかなり細かく資料を請求しなければならなくなりますし、入力や確認にも時間が掛かることは明白です。一方業界としては慢性的な人材不足で、スタッフを確保するためには給与アップが避けられない状況でもありますし、今後は税務会計ソフトのコストアップも想定しなければなりません。それだけに手間が掛かる割に金払いが悪い、レスポンスが悪い顧客に対しては、上記の様な対応を取る税理士が増えても不思議ではありません。

かといって税務のプロでない人がインボイス制度導入後、自力のみで消費税の正しい適用判定、手続き、請求対応、税区分処理、税額計算をするのは、はっきり言って無理です!

更に悪いことに、令和6年1月より電子帳簿保存法改正の猶予期間が終了し、本格的にデジタル化への対応が税理士に求められております。その影響か、対応が難しいと判断した高齢の税理士の廃業が相次いでおり、既存の税理士事務所にひっきりなしに問合せが来ている地域もあると聞いております。

そう考えると当事務所が所在する東京でも早晩、税理士事務所への問合せがひっきりなしに入り、依頼したくても断られる状況に陥るかもしれません。そうなってしまったら本当に廃業に追い込まれてしまいます。事業者側でも切実に危機感を抱き、インボイス中止を求めて様々な活動を行っているフリーランスの団体がおりますね。現に当事務所においても、インボイス対応が心配とのことで、税理士とは契約していない消費税の免税事業者からの相談が増えてきておりますが、幸いまだ当事務所は対応できる余裕はいくらかあります。事業者として今後も事業を継続したいということであれば、迷っている時間はありません。インボイス制度の理解に努め、迅速なレスポンスを心掛け、正当な報酬をしっかりと支払うことを心に決めて、今すぐご相談下さい!