去る2月22日(木)に東京株式市場で日経平均株価が前日比836円52銭(2.2%)高の3万9098円68銭で終え、34年ぶりに最高値を更新したという一報が飛び込んできました。

34年前と言えば日本はバブル期で、その当時の株高は日本企業に力があったというよりは、様々な追い風が重なった結果の産物でありました。しかし今回の株高の底流には日本企業が守りから攻めの経営に転じ、海外投資家が評価した結果であると言われております。

そう考えると日本企業はバブル後遺症からようやく脱し、本当の力を付けたことで企業収益が伸び、前向きな設備投資が進み、イノベーション(技術革新)が生まれ、その結果、毎年賃金が少し上がり、その分だけ少し物価も上がる「普通の経済」に移行できる時機となったと言えるかもしれません。

であれば株高の恩恵を少なからず感じられても良さそうですが、皆さまの実感はどうでしょうか?

 

私は残念ながら実感できていないばかりか、先月もお話しした通り、業界の慢性的な人材不足に汲々としております。

それもそのはず、株高の恩恵は今のところ株主限定で家計にはまだ行き渡っておらず、賃上げを起点とした好循環実現に課題が残っている状況と言われております。やはり賃上げを日本全体で取り組んでいかなければならなそうですが、それには生産性向上が一番と言われております。

では、どのように生産性を上げていけば良いでしょうか?

 

ポイントは3つあり、1つ目は「設備への投資」です。

一見生産性を上げることと関連が無いようにも思われるかもしれませんが、古い設備を修理しながらだましだまし使っている状態では、生産性を上げることは出来ません。

現在の機械装置は日進月歩で進化しており、さまざまな制御ができるソフトが標準的に組み込まれ、それによって省人化、省電力化、省資源化が達成できるものもあります。

もちろん入替えには費用が掛かりますが、費用を掛けたとしても新しい設備に入れ替えた方が、結果的に生産性が向上することが多いです。

 

2つめは「ICTへの投資」です。

一般的にICT関連の投資と言うと、大企業が独自の営業管理システムなどを開発し、導入するイメージでは無いでしょうか。そうしたシステムを作るには莫大な費用が掛かりますから、中小企業の経営者は「ウチではとても無理」と最初から諦めているかもしれません。

しかし、近年では個別に大掛かりなシステムを開発しなくとも、汎用性があり、価格も安い中小企業向けのシステムも多く提供されています。

また導入資金についても、IT補助金など国等による中小企業向けの支援もあります。

 

3つめは「人への投資」ですが、これが一番重要です。

具体的には、教育訓練や研修で従業員一人ひとりが新たな知識を得て、技術を向上させることです。やり方も色々ありますが、日本の中小企業の多くは、これまで現場で先輩から直接仕事のやり方を教わる「OJT」が主流でした。

終身雇用が保証されていた頃であれば最も有効的なやり方であったかもしれませんが、労働市場が流動化している現状ではそれだけでは足りません。

職場や業務から離れて実施される研修にて外からの新しい知識を入れていく「OFF-JT」の重要性が高まっています。これにより新たな知識を取り入れて、既存技術と組み合わせる人材が育っていきます。

 

上記3つのポイントに対しては税務での優遇策もありますので、何か取り組みたいことがあれば是非当事務所にご相談下さい。