ここのところこちらのコラムでは税制改正や特例税制などの話が続いておりましたが、今日だけは我々の業界のことをお話したいと思います。

タイトルの通り、本日第70回税理士試験の合格発表がありました。ここで税理士試験のことをご存じない方に簡単にご説明致します。

税理士は国家資格の一種で、税理士として登録しない限り、税理士として業務を行うことは禁じられております。国家資格ですので誰でも登録できる訳では無く、一定の基準をクリアしなければならず、その中に「税理士試験に合格」というのがあります。税理士試験は毎年8月に実施され、全部で11科目あり、そのうち5科目合格すれば税理士登録の要件を1つ満たします(実はこれ以外にも要件があるんですよね)。この5科目合格した人の名前が官報に掲載されるので、我々の業界では「官報合格」と呼んでおります。どんな感じで掲載されるかが分かるよう、本日付の官報のURLを下記に貼り付けておりますので、興味のある方は覗いてみて下さい。

https://kanpou.npb.go.jp/20201218/20201218g00266/20201218g002660068f.html

じゃあその「官報合格」のハードルですが、これは本当に大変です!!税理士試験の勉強を開始してから官報合格まで11年掛かった私が言うので間違いありません!というのも税理士試験は各科目100点満点中60点取れれば合格となっていますが、実際は各科目10%前後で合格者数が調整されており、実情は競争試験です。その10%に入り込むために受験生は税法条文を全て丸暗記し、正確に素早く税額計算出来るようテクニックを身に着けるだけでなく、電卓早打ちのトレーニングをほぼ毎日行わないと合格出来ません。ですので受験生時代はプライベートなんてあったものでは無く、修行僧のようにひたすら受験勉強に取り組んでいた感じでした。それだけに私は科目合格しただけでも大変な喜びでしたが、官報合格の時はようやく今までの苦労が報われたと、喜びもひとしおだったことを今でも覚えております。本当はその喜びを自分の目で確かめたくて、発表が出る9時前からネット前に張り付き、発表が出たタイミングで一つ一つ自分の名前を探していましたが、そんな折知人より「官報に名前があったね。おめでとう!」との連絡が…「良かった~」と思う反面「先に言わないでよ!」と妙に複雑な気持ちになったことも今では良い思い出です。

さて国税庁のHPには合格者数の詳細が掲載されております。

https://www.nta.go.jp/taxes/zeirishi/zeirishishiken/shikenkekka/70/kekka.htm

今年の官報合格者数は648人で受験者数が26,673人ですから、到達率は何と2.4%!数字の上からも狭き門だということがお分かりかと思います。それだけ納税者の代わりに税金を計算するというのがいかに重要な仕事かというのを改めて感じた次第です。その一方ご依頼される事業者の方には税理士は「税のスペシャリスト」というのを感じて頂き、税に関するアドバイスにしっかり耳を傾けて頂けますと我々としてもやりやすく、よりお客様の発展に寄与できると思っている次第です。