10月も残すところあと4日になり、あと2ヶ月で年末を迎えることになりました。ちょうどこの時期になりますと事業主には税務署から大きな封書が届きます。これを手に取ると「年末調整」を始めなければならないんだと事業主の皆さんは意識するようになり、当事務所でもよくお問い合わせが来ます。例年であれば「もう少ししたら年末調整に必要な書類一式をお送りするので、少々お待ち下さい」と返すのですが、今年はちょっと様相が違います。ハッキリ言って「ヤバい」です!
ここで改めて年末調整とは何か?というのをご説明したいと思います。事業者は従業員に給与を支給する際、源泉徴収税額表によって所得税を源泉徴収(天引き)しなければならないことになっており、その徴収した税額を所定の日までに従業員に代わって納めなければなりません。上記の源泉徴収税額表の所得税額は、1年間この給与だった場合に1月に納めるべき金額を算出して掲示しているのですが、実際に1年間に納めるべき金額は殆どがその通りになりません。年の中途で給与の額に変動があったり、扶養親族の数に変動があったりすると当然ズレが生じますし、生命保険料や地震保険料の控除などは、年末調整の際に控除となるため、毎月の源泉徴収では反映できず、ズレが生じてしまいます。
このようなズレを精算するため、1年間の給与総額が確定する年末にその年に納めるべき税額を正しく計算し、それまでに徴収した税額との過不足額を求め、その差額を徴収又は還付し精算する手続きを「年末調整」と呼んでいます。
給与所得者については事業者に納税義務があるため、年末調整は原則として、扶養控除等(異動)申告書を提出している人全員について行わなければなりません。よくある質問として「私は確定申告するので年末調整はしなくていいですと従業員に言われましたが、ホントにしなくていいんですか?」というのがあります。こちらの回答は「そういう人の分も年末調整が必要です」となります。具体的には基礎控除だけを反映して年末調整をして、源泉徴収票を発行する形になりますね。
但し給与収入が2,000万円を超える人、扶養控除等(異動)申告書を提出していない人(この申告書は1箇所しか提出できない為、他の勤務先に提出している人など)、年の中途に退職した人(例外有)、非居住者や日雇い労働者などは年末調整の対象になりませんので、1年間の給与総額及び徴収税額を合計した源泉徴収票を発行することになります。
このように事業者にとって年末調整は、従業員の税額の計算を一手に引き受けるわけですから、非常に大切な手続きと言えます。只ででも責任が重いし、作業も大変なところ、今年の年末調整は税制改正によって従来の手続きとの変更点がたくさんあり、内容も難しく複雑です。これからどこが変更したのかお伝えしていきます!