先週12/10(金)に政権与党より令和4年度税制改正大綱が発表されました。皆様に影響が出そうな項目は今後順次お伝えしていこうと思っておりますが、本年我々の業界を混乱に陥れた電子帳簿保存法の改正についても盛り込まれておりましたので、こちらからご説明していきたいと思います。

詳細はこちらの90~91ページ(第二-六-5-(8))を確認して頂きたいのですが、該当箇所の内容をそのまま転記すると、

「電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存制度について、令和4年1月1日から令和5年12月31日までの間に申告所得税及び法人税に係る保存義務者が行う電子取引につき、納税地の所轄税務署長が当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存要件に従って保存をすることができなかったことについてやむを得ない事情があると認め、かつ、当該保存義務者が質問検査権に基づく当該電磁的記録の出力書面(整然とした形及び明瞭な状態で出力されたものに限る。)の提示又は提出の求めに応じることが出来るようにしている場合には、その保存要件にかかわらず、その電磁的記録の保存をすることができることとする経過措置を講ずる。

(注1)上記の改正は、令和4年1月1日以後に行う電子取引の取引情報について適用する。

(注2)上記の電子取引の取引情報に係る電磁的記録の出力書面等を保存している場合における当該電磁的記録の保存に関する上記の措置の適用については、当該電磁的記録の保存要件への対応が困難な事業者の実情に配意し、引き続き保存義務者から納税地等の所轄税務署長への手続きを要せずその出力書面等による保存を可能とするよう、運用上、適切に配慮することとする。」

となっております。

今後法律となる文章なので非常に難しい表現をしていますね…私も読みにくくて大変でしたが、私なりに分かりやすく要約すると「法人や個人事業主が電子取引でもらったり発行した請求書を本当はパソコンに保存しなければいけないけど、令和4年1月1日から2年間は、準備時間が足りなかったり、パソコン操作に疎かったりしてパソコンなどに保存することができなかったとしても、税務署長がそれは仕方ないと認め、税務調査の時に調査官にその電子取引の書類を紙で印刷して見せることができていれば、ペナルティは与えないよ」というところでしょうか。

先月のこちらのコラムで国税庁の電帳法に関する補足説明についてもお話し致しましたが、それについて改めて法律で明文化される運びになるようです。とりあえず向こう2年間は今までのままの帳簿書類の保存方法で問題無さそうですが、その後の運用はどうなるのかは現時点では我々専門家の間でも意見が分かれているところです。リスクヘッジをするならば、この2年の間に電子取引に係る書類は法律に則ってパソコン等に保存できるように準備しておいた方が良いかもしれません。