年の瀬も迫っており、皆さまもそろそろ来年に向けて抱負を考えられる頃かなと思いますが、如何でしょうか。
特に事業承継があった場合は、会社に新しい習慣を取り入れたいと考える後継者は多いと思います。
後継者というのは、会社を大きく伸ばして初めて認められるものです。現状維持や微増だと、それは先代の威光と見られがちですからね。つまり、後継者が賞賛されるためのハードルはかなり高いと言えます。
それゆえ、後継者は大きな変化を作ろうと、目に見えやすい改革を行いがちです。
一方、大きな変化は従業員にも多大なるストレスを与えます。
その結果、改革派尻すぼみになり、始めにドでかい花火を打ち上げたもののフェイドアウト…なんていうことになる傾向もあるようです。
個人においても同様で、習慣化した生活を大きく変えるのは大変です。
例えば、ダイエットなどは「頑張って一定期間食事制限とトレーニングを行う」という特別なことをやると、気持ちが緩んだ時点でリバウンドを始めます。
このように人間は今すぐ結果を見たいから、派手な行動を決意しがちですが、案外強いのは決意するほどでもない地味な行動変化を積み重ねることではないでしょうか。
そう考えると冒頭の抱負も、小さなものでも良いので、新しい習慣の定着を決めてみるのが良いかもしれません。
例えば日記を1行書くのでも良いですし、読書を1ページでも、10分だけ早起きするのでも良いと思います。
そのような習慣化を会社の組織でチャレンジしてみるのも一法かと思います。
とはいえ、先にも申し上げた通り、人は変化を嫌う生き物と言われています。というのも変化によっては予測不可能な状況に陥るためであり、それはリスクでもあるので、脳が抵抗します。
ではどうすればこの抵抗を抑えながら習慣を定着させることが出来るのでしょうか?
まず始めにやることは、習慣のベースを作ることです。習慣にしたい小さなステップを、毎日忘れずにやる、という時間を毎日のルーティンに組み込みます。
2つ目は、毎日その動作をすることにおいて、障害となりそうなものは出来る限り排除しておきます。例えば読書なら本を枕元に置いておくなど、わざわざ本を選ぶという余計な動作を極力排除します。
3つ目は、既に習慣化して毎日やっていることの後に、新しい習慣を組み込みます。歯磨きをしたら髭を剃る、みたいに順序を固定します。
4つ目は、毎日少量だけやることです。欲張りすぎるのは厳禁です。
5つ目は、反省しないことです。出来なかった日があっても、面倒でやめてしまった時も「あーあ、今日もダメだった」なんていう反省は習慣化にとって毒でしかありません。
そこに関連して6つ目は、どうしてもやりたくない日は辞めてよい、とすることです。いつでも辞められる心のゆとりがないと、習慣は続かないのです。
7つ目は、成果を目標にしてはいけないということです。例えば「〇kgやせる」という目標を持つと、思った以上に成果が出ない時期に入ると、だんだんバカバカしくなります。ですので、ランニングするとしたら成果は無視して、「今日はランニングできた」ということを称賛しましょう。目標は成果でなくあくまでも習慣化です。
8つ目は、長期的視野を持たないことです。変に将来の計算をすると、成果の低さにバカバカしく感じられてしまいます。
そして最後は、やり続けた先の人生の変化を信頼して下さい。とにかく良くなるはず、というぼんやりした感じで大丈夫です。
ある研究によると、人の脳はマルチタスクに対応していないと言います。つまり一点集中してやり切る方が結果として効率が良いそうです。
それであれば、まずは習慣を定着させるフェーズと、そこから結果を得るフェーズに分けて行動計画を作ってみてはいかがでしょうか。
習慣として定着した時点で、成果に向けた改善を行えば比較的スムーズにルーティンワークに新しい行動が染みついていきます。
何かと社員の反発を受けやすい後継者の社内改革でも、小さな変化を積み重ねるという形はとても相性が良いはずです。
(参考文献:月刊ビジネスサミット2023年1月号)