当事務所は退職したスタッフの後任探しのため、ここ最近採用活動を続けておりました。

しかしながら相変わらずの人材不足で中々適任者が見つからず、必要な人員を確保するまでに結構時間が掛かってしまいましたね。

税理士業界だけにフォーカスすれば、税理士試験の受験者数減少が大きく影響している感じです。

私が受験した頃はバブル崩壊後の就職超氷河期であったため、資格取得が大変な人気で現在の2倍以上の受験者がおりました。当時は皆決死の覚悟で受験に挑み、1度や2度の挫折では諦めず何度も受験していたために、いつしか税理士試験は「時間が相当掛かるもの」とネガティブに認識されるようになりました。

その後少子化も相まって資格取得熱が下火になり、それと比例するかのように受験者数が減少したという訳です。

それと残念ながら、税理士業界は「ブラック」とのイメージも根強いようですね。私もそういったイメージを覆そうと、楽しいイベントを開催したこともありましたが、まだまだ業界全体での努力が必要であることを痛感しております。

 

ただ少子化に関しては我々の業界に限ったことでは無いですし、海外先進国との物価格差も外国人労働者確保という点では非常に厳しく、人材不足は現在、日本全体で深刻な問題として捉えられております。

そうなると生産性はさほど変わらない中でも、人材確保の為に賃金も上げざるを得ません。

それで人材確保が出来れば良いのですが、上手くいかなければサービス縮小という苦渋の決断に舵を切らざるを得ないでしょう。

また先にも申し上げた物価高も経営を圧迫しております。もはやこういう状況では従前通りでは経営が立ち行きませんので、値上げに踏み切るしかありません。

 

しかしながら安売り信奉のデフレ経済に慣れきってしまっている日本人に受け入れてもらえるか、不安に思っている経営者も多いと聞きます。

ただそんな不安を払拭し、思い切って値上げを断行した事業者の方が、様子見をして値上げに躊躇している事業者と比べ、業績が良くなっているとの日経新聞の記事を目にして、やはり経営者には「胆力(思い切りと度胸)」が重要なんだなと改めて感じました。

とはいえ現状を何も見直さず、値上げに踏み切るのは危険とも書かれておりました。値上げをするなら商品(サービス)の質向上、生産性の向上も同時に行っていく必要があるということですね。

また購入者側としても、何でも安いものに飛びつくのではなく、価値あるものを見極め、それに対する適正な価格をお支払いする、そういったマインドのリセットも必要かなと思います。

 

いずれにしても現状のままでは日本経済は先細って行くことは明白で、何か手を打つ必要があります。

税理士業界も受験者を増やすため、一部の科目の受験資格を撤廃したり、広報も多角的に行えるよう大幅に予算を増やすなど取り組んでおります。

少子化、物価高はそう簡単に改善するものではありません。それだけにそれに抗うのではなく、受け入れてマインドをリセットし、自分で出来ることを思い切って行うのが重要ではないでしょうか。