皆さん「明日やろうは、バカやろう」という言葉を聞いたことありますか?

 

これは何事も思い立ったらすぐやるべき、という話で先延ばしに対する戒めの言葉となっております。

しかし一方でついつい先延ばしをしたり、面倒くさいと感じるシーンは無いでしょうか?

ある心理学者のコメントでは、二代目はそういう傾向が強いという話がありました。あくまで体感的な感想だったようではありますが、その背景について少し考えてみたいと思います。

 

私たちの印象として「先延ばし」「面倒くさい」というのは、怠惰の証というイメージが強いと思います。だから「モチベーションを上げる」「気合を入れる」ということで、先延ばしや面倒くささを回避できるように思いこみがちです。

そこで「モチベーションの上げ方」を色々試してみるのですが、中々それも上手くいかない。いつしか、モチベーションを上げることに必死になって、「すぐやる」という本来的な目的を忘れがちになります。

そもそも、モチベーションを上げなければ前に進めないかのような固定観念にとらわれて、動けなくなっている人は意外と多いのではないでしょうか。

 

実は、先延ばしの癖や面倒くささの根本には、モチベーションの欠如というより、そもそも「やらないことで手にしているベネフィット(利益)がある」という考え方があります。

それは先延ばして行動しないことで、誰かに批判されたり、拒絶されたりするなどの失敗の結果を経験せずに済むということです。

このような傾向を持った人は、物事が確実に成功する確信を持てないと前に進みません。言い換えれば、失敗を許容しない完璧主義とでも言いましょうか。

なぜこのような傾向が強く出るのかというと、遺伝的な傾向など複合的であるものの、子供時代の経験に原因があることが多いと言われています。

単純に考えて、赤ん坊の頃はお腹が空けば泣き、おむつが濡れれば泣く、という行動を即座に起こします。そこには先延ばしも、面倒くさいという感情も無いかと思います。

それがその後の成長過程で、世の中自分の思うようにいかないこともあると理解するようになります。

特に親が会社を経営している場合、忙しさから家を空け気味で寂しい子供時代を過ごしたり、子に対して支配的である傾向が強かったり、子への期待から過干渉気味になりがちな親子関係を持つケースが多い様に思います。

そんな理由で二代目はこの傾向を持つ人が多い、というのが前出の心理学者の弁です。

 

先延ばしが「やるつもりなのにやれない」のではなく、「結果を見ないために、面倒くさいという感情が生み出される」としたら、根本的に対処法が違ってきます。

ここでご提案するのは「行動してみてもそんなに怖いことは起こらないですよ」というのを自分に分からせる、という方法です。

例えば、友人とランチに行くなら今までは「どこに行く?」「何を食べる?」というのを他人に決めてもらったのを、自分が言い出しっぺになってみて下さい。食べたいものがあろうがなかろうが、自分の意見として発言してみます。

その上で、自分の選択を発言した結果、「決して辛いことが起こる訳でもない」ということを確認してみます。

お昼に食べたいものを主張したところで、誰も怒り出しませんよね。意見が却下されたとしても、それはたまたまそういう気分ではなかったなどの理由であることが多く、決して自分自身が否定されたわけではありませんので、普通に受け入れて下さい。

ランチメニューだけでなく、とにかく「小さな選択・決断」を意識して、数ヶ月率先して行うようにしてみて下さい。

振り返れば、随分と自分が軽やかに物事を決断し、行動に移していることに気づくはずです。

(参考文献:月刊ビジネスサミット2023年11月号)