事業承継の真っ只中にいる後継者の中には、
やりたいことが自由にやれない状況や、
先代や古参社員との人間関係に苦しんでいる方が多いのではないでしょうか?
それを何とか脱しようともがくほど、
現実が悪化すると感じることは多いのではなかと思います。
こちらが自分の立場を確保しようともがくほど、
周囲の人たちは反発を強めるのも良くある話です。
こちらは
- 相手に変わって欲しい
- 行動を変えて欲しい
と思っていても、
相手は変わりたくもないし、行動は変えたくないものですから。
そんなときの対処法は過去のコラムでもいくつかご紹介しておりますが、
過去のコラム▼
後継者あるある?会社組織の「崩壊の前兆」とは?
https://tax-kanou.com/20211012_01/
後継者が結果を出そうとするなら…「楽しめる」選択で攻めるべし
https://tax-kanou.com/20211012_01/
それらの対処法も通用しなかった…
そんな方にとって参考になるかもしれない実験があります。
カナダのブリティッシュコロンビア大学などが、
2014年に被験者に高負荷でキツイ自転車トレーニングをさせる実験を行いました。
すると
「意外と大丈夫」と苦しさを過小評価したり、
「この苦しさが無くなればいいのに」と現実逃避したりした被験者より、
「キツイことをやっているのだから、苦しさは仕方ない」と
現実を受け止めた人たちの方が、
主観的苦痛は55%も軽減され、運動を15%長く続けられたそうです。
つまり、起こったことをそのまま、何の判断も加えず受け入れる方が、
自身が感じる苦痛も減り、パフォーマンスも上がると思われるのです。
これを上記の後継者の立場にあてはめて考えてみた場合、
万策尽きた時、いっそ「まあ、そんなもんだよね」とその現実を受け入れてみてはいかがでしょうか。
そんな状態は「積極的あきらめ」と捉えても良いかもしれません。
事業承継も後継者という立場も、それは大変なものです。
それを否定せず受け入れてみると、違ったものの見え方が現れるはずです。
実際にこんな事例があります。
先代のムダ遣いに悩まされていた後継者がいました。
会社の業績が不振の中、
後継者は役員報酬も削られ、新規顧客獲得のために必死でしたが、
先代は従来と同じように気前よく振る舞いたがりました。
後継者はそれを責めるのですが、
そうすればするほど先代は隠れて余計な契約を結んできます。
ある日後継者は「ウチの先代はそういう人なんだ」と腹をくくり、
ムダ遣いを制止するのをやめました。
その代わり「良い格好したくてムダ遣いするなら、先代が活躍できる場を作ってみよう」と考えました。
それまで先代には全ての仕事から手を引いてもらおうとしていましたが、
逆に一部の仕事を担当してもらうことにしました。
そうすると、後継者や社員から頼まれる仕事で忙しくなった先代は、自分が活躍する場がないという欲求不満も暇も無くなったからか、ムダ遣いが徐々に減ったそうです。
いかがでしたでしょうか?
「起きていることをそのまま受け止める」のは、
自分を責め続けるループから解放される一つの方法です。
大変なことをやっているのだから、しんどくて当然。
難しいことをやっているのだから、完璧に出来なくても仕方ない。
もちろんこの思いを持つことで、
自分を甘やかそうという訳ではありません。
状況を受け入れ、出来ることを粛々と、かつ懸命にこなすことは、
誰に頼る訳でもなく、逆に自分を磨く行為となるはずです。
「人事を尽くして天命を待つ」ということわざがあることからしても、
物事は案外、ありのままシンプルに考えた方が良い結果をもたらすことが多いのかもしれません。
(参考文献:月刊ビジネスサミット2021年12月号)
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