当事務所では例年12月より繁忙期となりますが、今年はインボイス制度導入の流れがあり、一昨年10月に法人成りしたお客様が多くいらっしゃったため、11月より繁忙期突入となりました。そうなったら覚悟を決めて目一杯業務に取り組むのは当然ですが、繁忙期は3月まで続きますので途中で息切れ、戦線離脱は避けないといけません。今ではその辺のペース配分も上手くできるようになったと思っておりますが、この業界で修業を開始したころは思うに任せないことも良くあり、繁忙期こそ何とか乗り切れたものの、その直後にぶっ倒れてしまったものでした。それではビジネスマンとして失格です!

今にして思えば、修業を開始した頃はそもそも3か月先の業務フローも理解しておらず、短期的な計画など立てられておりませんでした。それに対応しなければならない業務それぞれの作業工数、時間も把握していないので、後々タイムオーバーという事態は避けるべく、とにかく目の前の作業をひたすら行うだけでした。結果無理をすることになった訳で、ぶっ倒れた時の辛さは思い出したくないのですが、これも必ず通るべき道であったと思っております。

ある意味無理をして限界を超えたことで、自分の今現在の限界点が分かり、そこに達しないよう業務にあたる際は普段から意識するようになりました。まずは業務の作業工数、時間の把握に努め、繁忙期間の作業をパズルのように割り振り、この時点で何を仕上げるというロードマップを作るようにしていきました。そうすることで余力を残すことが出来るようになり、疲れが残っていない分生産性が上がり、更に心の余裕も生まれミスを減らすことも出来ました。一方限界点以内で常に業務に当たっていると、成長は出来ません。成長のためには少し背伸びする位のところが良いので、そういった意味でも正しい目標の位置を設定することが出来るようになり、着実にステップアップ出来ているように思っております。

このような経験を私自身してきたので、若いビジネスマンには「1度は無理をしろ!」と言っております。働き方改革やライフワークバランスが叫ばれている昨今では時代錯誤も甚だしいとお叱りを受けそうですが、「自分を知る」ためにはやはり必要なことです。一方で万が一ぶっ倒れてしまった時は、経営者なり上司が責任をもってフォローしてあげるべきです。

昭和50年代、プロ野球の読売巨人軍はV9戦士が引退、衰えが顕著となり思うように勝てなくなりました。そこで当時の長嶋茂雄監督は若手選手を集め、伊東で秋季キャンプを敢行。監督自らバットを握って千本ノックを行い、終わった後は立ち上がれない位にまで追い込んだ練習を課しました。これによって若手選手は心身ともに逞しくなり、キャンプに参加した選手たちは皆、巨人の主力に成長。その後も長い間活躍を続けたのでありました。

なかなかスタッフが成長しないと悩まれている方は、一度限界突破メニューを組んでみるのが良いかもしれませんね。勿論その後のフォローも忘れずに。